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そう聞くと何だか複雑そうですが、そんな株式会社の運営形態も、今ではどんどんと変わってきつつあります。
設立に必要な資本金が従来1000万円以上であったのに対し、2006年の新会社法により、なんと1円(!!)から設立可能になり、また取締役会の設置も任意、必ずしも作る必要がなくなるなど、会社設立への門戸はずいぶんと開かれてきています。
さて会社設立を目指している方も、すでに企業で働いている方も、やはり気になるのは会社の顔とも言うべき会社名ではないでしょうか。
親しみやすく、多くの人に愛される会社で働きたい!
そこでこの『株式会社』。社名の前に付ける『前株』か、後に付く『後株』か。
どういう理由でその区別はされているのでしょう。その違いは? 意味は? マナー違反になることって?
顔は潰したくないですよね!
2つのタイプ(前株・後株)のその違い、分かれている理由、マナーについてご説明いたします。
違いを知ったら、さらに愛着がわいて、トイレ掃除なんかも積極的にしてみたく……なるかもしれません!
目次
前株と後株の違いを超簡単に説明
バッサリと一言で言ってしまえば、その違いとは発起人(設立者)のセンスです。会社を設立し、株式会社として法務局に商号(会社名)を登記するとき、商法の規定では『株式会社』の文字を入れることは定められていますが、その場所については特に決められていません。
ですから会社名の前に『株式会社』を付けても後に記しても、なんなら真ん中に入れても、問題はないわけです。
一度登記したら、その位置を変えることはできませんが、届け出の際に決めるのは、発起人の一存です。
前がよければ前株、後ろにこだわりたいのであれば後株。自由です(真ん中に入れてもいいですが……)。
ただ、すでに同じ名称での登録があった場合はNG。前株を後株に急遽変更して登録、などということもあるようです。
ですが、前株にするか後株にするかを決断する際、その発起人が何を決め手としたのか、は気になるところ。
どういった視点からそれぞれが選択されているのか、次にその傾向を見てみましょう。
前株とは?意味は?
◆動画♪【株式会社あなたの幸せが私の幸せ(3)】世界一長い社名誕生の由来 ギネス挑戦の舞台裏『株式会社タロー』の場合、「こんにちは、株式会社として運営しております。あ、社名はタローって言います」となる『前株』の社名。
きっとこの設立者の方は、
- 言いやすい / 語呂がいい / 書いた字面がまとまる
- いきなり『タロー』と名乗ったら「だれ?」となり、会社名として認識されないかもしれない
- 『株式会社』として運営されているしっかりとした会社であることをアピールしたい
- 『株式会社』部分を聞き逃されても、社名を言うまでには心の準備ができ、肝心の社名はしっかりと耳に届きやすい
比較的新しい企業、またカタカナや英語名を社名に持つ会社では、こちらの『前株』で会社名を表すところが増えているようです。
電話番号などが記される順は「株式会社」の「か」ではなくその後に続く社名(上記会社なら「た」)で決まります。
前株にしたからと言って、夥しい「か」の欄から必死で探さないとならなくなる、などということはありませんので、ご安心くださいね。
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後株とは?意味は?
後株(タロー株式会社)では「こんにちは、タローという会社です。あ、株式会社の運営形態、取らせてもらってます」といった感じになるでしょうか。戦前はほとんどの企業が『後株』で登記されていました。
ですから、古い歴史を持つ会社は、社名変更をしていない限り、こちらの『後株』タイプとなります。
またこのことから、老舗として大きく成長する会社になりたい、という思いを込め、戦後に設立された企業でも敢えて『後株』を選ぶこともあるようです。
他にも、
- 通常呼ばれる会社名(株式会社以外の部分)が目立つ
- 株式会社であることよりも、会社名として売り出していきたい。または、会社名をブランドにしたい
前株と後株の詳しい違いとマナー
どちらを選ぶかは発起人の裁量に任されているとはいえ『株式会社』を付ける位置により、受け取る側に伝わるイメージの違いが出てくるものですね!では『前株』『後株』、2つを比較しながら、その違いと守っていきたいマナーについて、さらに詳しく見ていきましょう。
どっちが多い?
2005年の統計です。◎東証一部上場(一般に昔からある大企業が多い)1649社の内訳
・前株: 590社 = 35.8%
・後株: 1059社 = 64.2%
➡古くからある企業が集まる場所では『後株』優勢ですね。
◎東証マザー(新興企業が集まる)125社の内訳
・前株: 93社 = 74.4%
・後株: 32社 = 25.6%
➡『前株』圧勝! やはり新しく設立する企業の発起人さんには『前株』人気は高いようです。『後株』は古い、というマイナスイメージもあるのかもしれませんね。
傾向的に多い企業の特徴
・前株: 比較的新しい会社 / カタカナや英語表記の社名を持つ(でも長い歴史のあるソニーやパナソニックは後株)・後株: 戦前から続いているような老舗的な企業
強くプッシュしたい事(あくまで傾向)
・前株: 「株式会社」なんです!・後株: 「○○という名の会社」です!
メリット
・前株:=「株式会社何々」と言うことで、出だしはうっかり聞き逃されても、続く社名はしっかり聞き取ってもらえる。つまり、社名を伝える前に、相手にまずは心の準備を与えられる。
=資本の大きな(1円設立も可能となりましたが、やはり主流のイメージではありません)会社であることを端的に表現している。
=(IT関連などなら特に)新しい、フレッシュな会社であることがアピールできる。
・後株:
=社名を取り合えずアピールできる。
=戦前から続く、歴史ある企業であることが多いため、それが伝わる。また、その意気込みを伝える手段になるかも(誕生秘話など語る場面で)。
それはマナー違反!!!!
先ほども少し触れましたが、登記の際、同じ社名が既に登録されており、やむなく『前株・後株』を入れかえて登録する、ということはそう珍しくはないことのようです。そうすることで登記が可能となる、ということは、つまり「全く別の会社」として『前株・後株』部分だけが違う企業が存在する、ということですね。
・前株と後株を間違える: それは、もう違う会社のことです。
・領収書などで「株式会社」を「(株)」で略す
➡前株も後株も関係ありません。ご自分のフルネームを、例えば丸山一さんだったら、○の中に山、一を1として書かれるようなものです。
ちょっとカチン、プチッ、ときませんか? 社名は「株式会社」部分も含めて、がフルネームです。
・誤字脱字: ここまで来ると、もはや『前株・後株』の問題だけではなくなってきました。
が、これと同じレベルで捉えられるほど、どちらに「株式会社」の文字を付けるかは大事なことなのです。少しでも不安のある時は、必ず確認をお願いします。
蛇足となりますが、間違えた箇所を正す際、二重線に押印で訂正は可能です。
ですが、できれば相手に渡る書類(請求書、領収書、企画・提案書など)は、新しく書き直すことをおススメします。
どうしてもそれがムリな場合は、せめて一言、その旨をお伝えください!
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終わりに…
登記の際、『株式会社』を入れる場所に規定はない、とはいっても、それが会社の「顔」であることには変わりません。正しいフルネームで、お互い気持ちよく取引をしたり、また、そのフルネームに誇りを持ちつつ「私の働いてるのは、ここ!」と紹介したいものですね。
名付けられた背景も想像しつつ、より親しみを感じていただけたら、と思います!!
いかがでしたでしょう。
設立当初の発起人の姿が、何となく浮かんできましたか? 少しでお役に立つことができていたら、うれしいです!
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