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園芸や家庭菜園をされている方にとっては、売り切れだったら一番困る物の一つかもしれません。
『消石灰』『苦土石灰』『有機石灰』、今日のお買い得はこれなのねぇ~、 といって選ぶわけにもいかないこの3つ。
それぞれの特徴や違いをまとめてみました!
ますます綺麗なお花やおいしいお野菜を育て、見たり食べたりする皆様を楽しませてあげてくださいね!
目次
「消石灰と苦土石灰と有機石灰」の違いを超簡単に説明
できれば弱酸性から中性の土で育ちたい植物。けれど雨などの影響もあり、酸性寄りになってしまうことが多い日本の土壌事情。それを中和させるのに欠かせないのが、この石灰類です。
一番アルカリ成分の強い『消石灰』はカルシウムの補給と共に土壌の酸性度(PH)を中和してくれます。初めて作付けする畑や、酸性度が特に高い場合に使用すると効果的です。
『苦土(くど)石灰』は『消石灰』にプラス、マグネシウムを含む石灰です。土壌を中性に近づけ、カルシウムはもちろん、さらにマグネシウムの補給にまで役立ってくれます。
『有機石灰』、こちらの特徴は「穏やかな中和」です。
それにより、撒いてから1,2週間程度置いての種まきや植え付けが理想とされる『消石灰』『苦土石灰』のような無機石灰とは異なり、時間を置かずに作業を進めることができる、というのが一番の特徴となります。
消石灰とは?
生石灰を水と反応させ、不活性化させたものが『消石灰』です。石灰=カルシウムを含み、PH12の強いアルカリ性を持つため、少量で、土壌の中和を促すことができます。
散布の目的は土壌の中和がメイン。プラスカルシウムの補給、です。
一度にたくさんの散布は、土を固めてしまい根が成長できなくなってしまうので、気を付けてくださいね。
またこの消石灰、アルカリ成分が強いため、急な中和となります。その間、土は大きく変化し続け、そのため土の状態が馴染む1週間ほどは放置しておく必要があるわけです。
消石灰には肥料成分は含まれていないため、手っ取り早く同時に肥料も撒きたいところですが、そこもまた我慢です。
散布後、土に馴染むのを待たず、同時に混ぜてしまうとアンモニアガスが発生します。このガスが植物の体内に入ると、酸素が奪われ、枯れてしまうのです。
つまり、種をまいたり、苗の植え付けをする2週間前に『消石灰』を、そのまま1週間置き、肥料を混ぜ、その1週間後にやっと種や苗の登場です。
……待つだけですが、根気がいりそうですね。
学校でライン引きに使われる、あの白い粉の正体も実はこの『消石灰』。
園芸売り場などで10キロ20キロを500円~1000円ほどで購入できる、大変リーズナブルな消石灰ですが、グラウンドで、日々の消耗品としてバシバシ使っていたことを思い出すと、なんとも納得させられるお値段でもありますね。
(PHとは0~14で表す酸性度のことです。PH7を中性とし、それより小さい数字ほど酸性度が高く、大きくなるほどアルカリ寄りとなります)
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苦土石灰とは?
◆『石灰の種類』の動画もどうぞ♪「苦土石灰」の『苦土』とはマグネシウムのことです。
ドロマイト、という鉱石に熱を加え、砕いてできたものが「苦土石灰」です。
主な成分は炭酸カルシウムと炭酸マグネシウム、消石灰に含まれるカルシウムの他にマグネシウムが成分に加わっています。
消石灰同様、土壌の中和を一番の目的とし、カルシウム、さらにマグネシウムの補給のための石灰です。
葉緑素(葉の緑に艶を与えます)を作り、植物の成長には欠かせない『マグネシウム(=苦土)』ですが、水に流れやすい、という性質も持っています。
もともと土にはあまり含まれていない成分の上、雨の多い日本。マグネシウムの補給をしてくれる「苦土石灰」は、心強い味方となりますね。
また、肥料としての効果も期待できるようなので、ガーデニングなどにはお勧めの石灰かと思います。
肥料(苦土石灰の肥料効果ではなく、別物としての肥料)を同時に混ぜると、窒素成分に反応しアンモニアガスを発するのは消石灰と同じですが、中和への反応が比較的緩やかなため、それほど問題ない、とも言われています。
粉状と粒状があり、混じりにくい粉状のものの中には、即植えOKのものも販売されているようです。
けれど、万全を期すなら、やはり散布後1週間ずつの放置期間は必要となってきます。
植え付け時のみでなく、葉っぱの下側が黄色くなり枯れかけてきている時などにも、苦土石灰を加え、マグネシウムの補給をしてあげてください。
マンガンや鉄などのヨウ素欠乏症を引き起こす原因ともなりますので、与えすぎには注意です。
有機石灰とは?
『有機』と聞くと無条件に「安全」「高い」が頭に浮かんでしまうのは、私だけでしょうか?私だけかどうかはさておき、有機石灰は他のふたつに比べ、若干高い値段で売られているのは事実です。
さて、この「有機石灰」、カキやホタテの貝殻粉末や卵殻粉末など、主に動物由来の石灰からできています。
大まかに言えば、消石灰に有機物質を加えたもの、となります。
水に融けにくいため、ゆっくりと酸性の土壌を中和していき、そのため、先ほども書きました散布後すぐの植え付けが可能となるわけですね。
微生物を活性化させる効果もあり、土が硬くなることもないようです。
また、水分に反応してガスが発生することもほとんどないので、すぐにでも作り始めたい!という時にはとても便利です。
主成分は炭酸カルシウムで、補給の持続性にも優れています。逆に言えば効果が出るのに時間がかかるということにもなりますが、有機栽培には最も適した種類と言えそうです。
「消石灰と苦土石灰と有機石灰」の違いを詳しく!
さて、3つの石灰、含まれた成分によって、それぞれの名前が名付けられたようです。ではその違い、植物を育てる上で、どう使い分けるべきなのか、もう少し詳しく見ていきましょう!
中和の強さ(速さ)
含まれるアルカリ成分の含有率により、- 消石灰(強い)
- 苦土石灰(やや強い)
- 有機石灰(緩やか)
中和の強さ(速さ)の違いが分けるもの
・使用する石灰の量:強いほど少ない散布量で済みます。・土に馴染むまでの日数:中和の速度が速いものほど馴染むのに時間を要するため、「消石灰 > 苦土石灰 > 有機石灰」となり、一般に 消石灰では10~14日、苦土石灰は1週間が理想とされます。有機石灰はすぐにでも植え付けが可能です。
・中和が弱い (アルカリ成分が低い)ものほど、分解が穏やかになるので、食物への影響は少なく済みます。
期待できる効果
・消石灰:土壌の中和 / カルシウムの補給(持続性はあまりなし)
・苦土石灰:土壌の中和 / カルシウムの補給・マグネシウムの補給(持続性はあまりなし)/ ある程度の肥料的な効果
・有機石灰:土壌の中和 / カルシウム(持続性あり)・有機質(→ 土壌にプラスに働き、作物の色つや、日持ち、栄養価に効果あり、とも言われています)の補給
・苦土石灰:土壌の中和 / カルシウムの補給・マグネシウムの補給(持続性はあまりなし)/ ある程度の肥料的な効果
・有機石灰:土壌の中和 / カルシウム(持続性あり)・有機質(→ 土壌にプラスに働き、作物の色つや、日持ち、栄養価に効果あり、とも言われています)の補給
どんな土が求めてる?
・消石灰:アルカリ成分が強いため、極端に酸性化している土壌や、初めて作付けをする畑などに速効性あり!・苦土石灰:特にマグネシウムを必要とする土壌や植物など、とにかくマグネシウムまで補給したい場合。消石灰よりも中和が穏やかで肥料効果もあるので、家庭菜園などには一番向いているかもしれんません。植え付けの前だけでなく、葉が黄色く枯れそうになった時も追加で撒けます。
・有機石灰:ある程度の中和が保たれていて、カルシウム成分にも特別に問題のない畑など、反応は穏やかながら常にカルシウムの補給を促してくれるため有効。有機栽培などにも向いています。
撒きすぎると?
- 消石灰:土が固まり、根が成長できなくなります。
- 苦土石灰:マンガン、鉄などのヨウ素欠乏症を引き起こすこともあります。
- 消石灰 / 苦土石灰:アルカリに傾きすぎ、植物を弱らせる恐れがあります。
- 有機石灰:影響はあまり出ません(もったいないですが)。
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終わりに…
さてさて、石灰なら取りあえず撒いておけばいい、というわけではないことが分かりました。ちなみに、お値段と売れ行きの比較はこちらになります。
- 有機石灰 >苦土石灰 >消石灰:これがお高い順
- 苦土石灰 >消石灰 >有機石灰:売れ筋順です
また、当たり前かもしれませんが、植物の中にはツツジやブルーベリー、スズランなどのように、酸性土壌を好むものも多くあります。
弱酸性土壌での成長を望んでいる植物も、それぞれに好みのPHは違ってきます。
まずは育てたい植物の好むPH、そして、お使いになる場所の土の状態をチェックすることから始めてみてくださいね。
また、チェックがどうしてもできない場合は、多少多めに撒いても植物に悪影響の出づらい有機石灰がお勧めです。
マグネシウムが必要かどうか、も、選ぶ上では重要ですね。
手間や時間を掛ければ掛けるほど、育った植物は美しく、またおいしく感じられるものです。まさに「手のかかる子」ほどかわいい!
時間と気持ちの余裕もプラス成分として、楽しく、きれいな植物が育ちますよう、応援しております!
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